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希望の贈り物

2011年2月15日掲載

最近、治療者としてカウンセリングをしていて感じること
逆に患者として感じ、考えたこと…それが「希望の贈り物」
今回は、日常の中で感じ考えたことをまとめてみます。

いつもは治療する立場の私ですが、患者になり治療される立場に
なると、色んな場面や人から教えて頂くことがあります。

特に、治療がうまくいっている時にはいいのですが、
思うように治らず一進一退を繰り返していると、治療者から
負のメッセージが送られて苦しむことがありました。

治りたい、良くなりたい思いで治療をしていても、
怪我や風邪のようにすぐに結果のでるものばかりではありません。
慢性的な病気や心の病は、時間をかけてゆっくりと変化し、
やがて回復を迎えていくことが多いものです。

教育心理学の中に、ピグマリオン効果があります。
これは、教師の期待によって生徒の学習効果が上がるというもの。
実際に成績が良くても悪くても、教師が期待することによって
期待された生徒は学力が向上し、そうでない生徒との差が生じる。

人間は、期待にこたえようとする性質があると考えられ、
その効果を利用した実験と考えられます。

医療の分野では、プラセボ効果というものも知られています。
薬でないもの(砂糖など)を薬だと信じて飲むことによって、
薬と同じ効果を得るというものです。
このプラセボ効果は、信頼関係のある医師から処方されることで
より高い効果が得られると言われます。

つまり、治療者の思いは患者さんに伝わるということです。
逆も同じで、患者さんの思いは治療者に伝わります。

私がカウンセリングでお会いする方は、心と体のバランスが崩れ
自分ではどうにもならずに苦しんでいる状態の方が多くいます。
急激にバランスを崩した方から、長い時間を経過した方まで
様々に大変な状況を抱えていらっしゃいます。

カウンセリングでは、お会いする方をありのままに受け止める
ということを大切にしています。
「もっと早く来て下されば…」と思う方もいらっしゃいますが
そうできなかった状況があったのだと考えます。
そして、辛い中をいらして頂いたことに「ありがとう」の思いを
お伝えします。

自分が患者になって、治療者から負のメッセージを受け取り、
苦しい思いをして自分自身で自分のケースカンファレンスを
してみました。

客観的にケースとして自分を捉え、治療者の立場からみると
色んなものが見えてきます。
そして、治療者に対しても色んな気付きがあります。
『人のふり見て我がふり直せ』ですかね?!

私は治療者として、カウンセリングに来た方へ希望のかけらを
贈りたいと思っています。
そして、その方の力をどこまでも信じていたい。
どんな状況であっても、クライエントを信じて
「大丈夫」と言えるカウンセリングがしたい。
それが『希望の贈り物』になると思うのです。

中学生の時、私の将来の夢は…
「まごころの治療ができる医者になること」
私の原点は、心と心が触れ合う医療の実現です。
今回、自分のケースカンファレンスをしたことで
原点に帰ることができました。

気付きのチャンスを与えて下さった治療者に感謝しつつ、
日々のカウンセリングで「まごころの治療」ができるよう
頑張っていきたいと思います。